« 弁護士の良心と平和憲法 | トップページ | 2010/07/06の出来事 »

2010年7月 5日 (月)

コラム【トップを目指さず走り続けた名脇役~ロレッタ・デヴァイン】

コメディ映画で印象を残す黒人女優は、何故か“アクの強い太ったオバちゃん”が多い。スタイルのいい美人女優もいるけれど、彼女らはヒロインであるだけのポジションであり、案外印象に残らないのだ。例えばエディ・マーフィーやウィル・スミスの相手役って、あんまり見せ場がないでしょ? その分、三番手、四番手の脇役は登場シーンが少なくても、けっこうインパクトがあったりする。そういう役割の脇役女優で、80年代からずっと名脇役のポジションで走り続けている黒人コメディエンヌがロレッタ・デヴァインなのだ。

見た目は、ドーンと“肝っ玉母さん”体型。コメディもシリアスも器用にこなし、歌も踊りも玄人はだし。ウーピー・ゴールドバーグのように突出した個性でアメリカン・ドリームを実現したのとは違い、ハリウッド・エンターテインメントの王道まっしぐらである。押しの強さと愛嬌のあるキャラクターを得意としているせいか、太ったオバちゃんでありながらロマンスのある役が似合ったりする。現在放送中の海外ドラマ「弁護士イーライのふしぎな日常」(2008年~2009年)では、主人公の“不機嫌で口うるさい”秘書パティ役でレギュラー出演しているが、事務所の重役から慕われるという意外な設定がついていた。そして、このドラマでは出演者たちがミュージカルよろしく歌い踊るシーンが多く、デヴァインも迫力あるエンターテイナーぶりをたっぷり見せてくれる。

息長く多数の作品に出演し続けてきたロレッタ・デヴァインだが、日本で公開された作品が少ないために知名度はまだまだこれから(といっても、彼女自身は芸歴30年を超えているのだけど)。映画ファンに知られているとすれば、『ため息つかせて』(1995年)のグロリア役、『天使の贈り物』(1996年)のビヴァリー役あたりだろうか。どちらもホイットニー・ヒューストン主演で評価の高い作品だが、両作に連続で共演者として選ばれていることを見ても彼女の力量がわかるだろう。

また、『First Sunday』(2008年)と『Lottery Ticket』(2010年)では、アイス・キューブと共演。『For Colored Girls Who Have Considered Suicide When the Rainbow Is Enuf』(2011年公開予定。原作は黒人女性の数奇な運命を描いたヌトザケ・シャンゲの戯曲)では、ウーピー・ゴールドバーグとも共演しており、スターたちから“共演したい脇役女優”として重宝されていることが窺える。それも、彼女が脇役のポジションに誇りを持ち、彼女の演じるキャラクター同様に愛される人物であるからなのだろう。

それにしても、ここまで日本未公開作品ばかりがズラリと並んでるのは黒人がメインの作品であることと無関係ではないだろう。還暦を過ぎたロレッタ・デヴァインの芸達者ぶりを、なんとか日本でも目にする機会が増えることを切に祈りたい。

|

« 弁護士の良心と平和憲法 | トップページ | 2010/07/06の出来事 »

コラム/コメディ」カテゴリの記事