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2010年6月

2010年6月30日 (水)

2010/06/30の出来事

★先日取材を受けた「anan」の発売日。ドラマウォッチャーとして紹介されているけれど、刑事ドラマよりは(実は)時代劇や海外ドラマの方が多く語れるんだけどなぁ……。

★大掃除をしていたら、11年前のシステム手帳を発見。この10年で、(仕事関係も含め)人間関係がかなり入れ替わっている。感覚的には、10年前ってついこの間のことのように感じるのにね。

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2010年6月29日 (火)

2010/06/29の出来事

★「映画野郎」のコラム入稿。今回は、黒人女優のロレッタ・デヴァインについて。黒人女優のドラマといえば、「No.1レディース探偵局へようこそ!」が来月から日本初放映される。“ボツワナのミス・マープル”と呼ばれる女探偵が主人公のミステリー。

★7/2からカナダの甥っ子と姪っ子が来日(というか、帰国?)するので、半日かけて自宅の大掃除。この機会に大量のビデオテープを処分する。

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2010年6月26日 (土)

2010/06/26の出来事

★Kさんの結婚披露パーティに出席。Kさんはドラマ・CM・舞台で活躍中の女優。京都出身ということで、ドラマの京ことば指導などもやっている。パーティには役者関係や映像関係の人が多く来ていた。

★夜10時過ぎになって、高田馬場にある出版社社長宅へ移動。社長Tさんの誕生パーティということで、ちょっとだけ顔を出す。Tさんは還暦を過ぎているが、いつ会ってもエネルギッシュ。最近30歳年下で美人の奥様をもらい、ますます幸せそうだった。今は、テレビの中よりも実際の人間関係の方がずっとドラマが多い。

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2010年6月23日 (水)

2010/06/23の出来事

★午後から『KING GAME』(江川達也監督作品)のマスコミ試写会。漫画家・江川達也氏の『東京大学物語』(2006年)に続く、第2回監督作品である。出演は石田卓也、芦名星、木村佳乃ほか。監禁された男女10名が“王様ゲーム”を強要されるという密室サスペンス。ひとことで言えば「ちょっとひねったお伽噺」という感じだった……が、劇場映画でなくテレビムービーくらいのサイズでも良かったと思う。出演者の中では、監禁された男女のひとりを演じた山本浩司の怪演が際立つ。

★夜は、“セルフ居酒屋”というコンセプトで話題の「清貧」(中野)へ。ライターのハギワラアキコさんの快気祝いと、「映画野郎」編集長・原口一也さんの誕生祝いを兼ねての宴会。料理の作り手が、自分とハギワラさんしかおらず、ほとんど厨房に入りっぱなし。それでも料理は好評だったようなので良し。近々ハギワラさんが料理本を出版するそうで、そちらも楽しみ。

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2010年6月22日 (火)

2010/06/22の出来事

★「映画野郎」のコラム原稿を入稿。今回のテーマは、黒人コメディアンのマーロン・ウェイアンズとウェイアンズ兄弟の業績について。

★夕方から新宿へ。週末に結婚パーティを開く女優Kさんと打ち合わせ。

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2010年6月20日 (日)

2010/06/20の出来事

★昨夜は新小岩「上むら」で宴会。店主より、秋田の日本酒・『白瀑』の「純米にごり生・サマー“ど”」をいただく。ヨーグルトドリンクのように白濁した酒で、濃厚なのに爽やかなのど越し。飲みすぎて、午前様になってしまった。

★もうひとつ。昨日は、アラフォー女子ユニット「呑娘。」のデビュー1周年ライブがあった。女優で、作曲も手がける川瀬有希子ちゃんがプロデュース。YOUTUBEにアップした動画を観て来場したというお客もあり、なかなかの盛り上がり。有希子ちゃんの持ち歌「うんだ」がJOYSOUNDのカラオケに入ったとのことで、これもヒットするかどうか、(演歌でもあるし)しばらくは地道な活動が必要なのだろう。

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2010年6月19日 (土)

2020/06/19の出来事

★舞台用脚本のアイデア、数本思いついたのでcheckpadにメモ書き。その中に実在の役者さん(故人)をモデルにした話があるのだけれど、他の登場人物の中には今も現役の方がいるので、このあたりの対処をどうしたものか。

★本日の新小岩でのイベント用のコント台本は、ワールドカップネタと梅雨ネタの2本。ライブで上演するネタというのは、基本的に時事ネタが理想である。梅雨ネタでは、さだまさしのヒット曲「雨やどり」の歌詞にちなんで、“スヌーピーのハンカチ”をキーワードに入れてみた。そういえば、かつてさだ氏がNHKでこの曲を歌った時に「キャラクター名を出してはいけない」という理由で別の歌詞に変えられてしまったのを思い出した。当時、山口百恵の「プレイバック・パート2」も“真っ赤なポルシェ”がNGだったように思う。今のNHKなら、そのくらいは大丈夫なのかもしれないなぁ。

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2010年6月18日 (金)

2010/06/18の出来事

★時代劇チャンネルで「必殺商売人」第13話。ゲストに吉沢京子と佐々木剛。このふたり、「柔道一直線」の高原ミキと風祭右京である。しかも、この1話前(第12話)のエピソードでは、一条直也役の桜木健一がゲスト! わざとやっているとしか思えないキャスティングだ。「必殺商売人」は、他の回でゲストに牧冬吉や藤岡重慶も出ているし(こちらは常連の悪役だから驚くことはないが)、「柔道一直線」に対して何か思い入れでもあるのかね。

★午後から雨。いよいよ梅雨に突入か。明日のイベント用にコント台本を2本書く。

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2010年6月17日 (木)

2010/06/17の出来事

★俳優の野上正義さんが、昨日倒れて救急車で運ばれた……と、映画関係者から聞かされる。昨年の春に舞台でご一緒したという縁もあり、何とか快復されることを祈る。

★録画用HDDが不調のため、そろそろ新機種と交換しなくては……。その前に、録画済みでまだ観ていないドラマなどを一気に観る“作業”に入る。

★「待っていた用心棒」(1968年)第2話と第3話。結束信二脚本による“用心棒シリーズ”だが、主演は栗塚旭ではなく伊藤雄之助。何といっても伊藤雄之助の存在感がいい。“馬面のブ男なのにニヒル”という説得力は、伊藤雄之助でなければ出せない味である。第3話のヒロインに磯村みどり。前日に観た「必殺商売人」(1978年)では悪役(夫を裏切る女房)を演じていたことを思うと、わずか10年で清楚な娘からしたたかな妻女になるのか……と。

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2010年6月16日 (水)

コラム【黒人コメディ新時代を担うスターの台頭~ウェイアンズ兄弟】

7080年代に最も成功した黒人コメディアンのひとりにリチャード・プライヤーがいる。かのエディ・マーフィーも尊敬していたコメディ界の大スターだが、日本では『大陸横断超特急』(1976年)、『スーパーマン3/電子の要塞』(1983年)、『マイナーブラザーズ 史上最大の賭け』(1985年)、『ハーレム・ナイト』(1989年)くらいしか、公開作としては記憶されていないのではないだろうか。だからというわけでもないけれど、『スーパーマン3/電子の要塞』でクリストファー・リーブ(スーパーマン)とダブル主役という扱いでクレジットされていたのを見た時には、多くの日本人が「誰、この人?」状態だったはずである(実際にはアカデミー賞授賞式の司会を2度務めた大物なのだが、今と違ってアメリカ国内でのキャリアなど伝わってこないのが普通だった)。

さて、その大物コメディアンであるリチャード・プライヤーの伝記映画『Richard Pryor: Is It Something I Said?』(2011年公開予定)が製作され、当初はエディ・マーフィーがプライヤーを演じる予定だったが降板することに。そして、最終的に主役に抜擢されたのがマーロン・ウェイアンズという黒人コメディアンである。日本ではまだまだ知られていない人物だが、2000年以降の映画出演作を見ると『最終絶叫計画』(2000年)、『レディ・キラーズ』(2004年)、『G.I.ジョー』(2009年)など、話題作で重要な役どころで出演しているのがわかる。そして、ホラー映画のパロディ作品として好評価だった『最終絶叫計画』と続編の『最''絶叫計画』(2001年)では、マーロンと兄のショーン・ウェイアンズが脚本を担当し、長兄のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズが監督だった。彼らこそ、90年代以降のコメディ界で台頭してきている“ウェイアンズ兄弟”である。

余談だが、日本ではあまり話題にならなかった2作目の『最''絶叫計画』だけど、実は日本版ではオリジナル版から20分もカットされている。そのため、ストーリーの辻褄が合わなかったり、重要な伏線やギャグが殺されているのだ。障害者絡みのドタバタシーンだからとはいえ、コメディでこういうカットをしてしまう神経はいかがなものか。

マーロンとショーンの兄弟は、90年代半ばにスタートしたシットコム「The Wayans Bros.」(1995年~1999年)で主演し、全米に知られる存在となったのだが、ウェイアンズ兄弟が世に出るきっかけとなったのは「In Living Color」(1990年~1994年)だった。ジム・キャリーやジェイミー・フォックスといった面々を輩出した「In Living Color」は、「サタデー・ナイト・ライブ」とはまた違った才能を発掘したことで再評価されるべきだと思う。

現在、ウェイアンズ兄弟を中心に、その子供たちや親戚まで含めた“ウェイアンズ・ファミリー”が映画・テレビで俳優やスタッフとして活躍しており、まさに新時代を担う黒人コメディチームと言えるだろう。

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2010年6月15日 (火)

コラム【マクレーン刑事の相棒が築いた、黒人一家のシットコム】

ヒット映画の好演で名を上げ、そこからテレビシリーズの主役をゲットするというケースはハリウッドでもままあることだが、90年代においては、『ダイ・ハード』(1988年)のパウエル巡査(2作目からは巡査部長)を演じたレジナルド・ベルジョンソンがその代表選手と言えるだろう。

あのまるまると太った愛嬌のある黒人警官を好演したレジナルド・ベルジョンソンは『ダイ・ハード』の翌年からスタートしたシットコム「Family Matters」(1989年~1998年)に主演し、この番組は9シーズンにわたる人気番組となった。

このドラマの特徴は、メインの登場人物が揃って黒人であるということである。近年、アメリカのコメディドラマに黒人が登場するのは別に珍しいことではないけれど、主人公一家に周囲の友人たちも含めた大半の出演者が黒人というのは(「ビル・コスビー・ショー」のような番組を除けば)ちょっと珍しい。そして、このドラマでもベルジョンソンはカール・ウィンスローという警官役であり、いかに“ベルジョンソン=人のいいお巡りさん”というイメージが浸透していたかということだろう。

さて、最終的には長寿番組となった「Family Matters」だが、実はスタート時から好調だったわけではなく、番組の人気が上昇したきっかけはシーズン1の後半からレギュラーとなった隣人のオタク発明狂少年・スティーブの登場から。このスティーブ君、見た目のインパクトがとにかく強烈で、大きなメガネにサスペンダー、カクカクしたヘンテコな動きに甲高い声……しかも周囲の空気を読めないことおびただしくて“元祖KY”というキャラクターなのだ。弱冠13歳でこのキャラクターを演じたジャリール・ホワイトは、スティーブ役で全米に名を知られ、今では立派な青年俳優として活躍している。

スティーブ君効果で安定した人気を得た「Family Matters」には、もうひとつ大きな“事件”があった。次女・ジュディを演じたジェイミー・フォックスワースの第4シーズンでの途中降板である。降板理由は公にされていないが、その後のストーリーでジュディが初めからいなかったような扱いになっていることから、何らかの不祥事が絡んでいることは想像に難くない。この降板事件を聞いて思い出したのが、「欽ちゃんのどこまでやるの!?」の高部知子ニャンニャン事件である。あれもまた、当時十代だった彼女の不祥事によって、番組から追放。三姉妹の設定だった“わらべ”が、何の説明もなく二姉妹になってしまったのだった。ちなみに降板後のジェイミー・フォックスワースは、ドラッグに溺れたり、別名でアダルトビデオに出演したりと散々な人生だったようだけど、近年は更生し、昨年にはボーイフレンドとの間に子供を授かったこともあって、徐々に幸せを取り戻しているようである。

Family Matters」が、そういうトラブルも乗り越えて90年代を走り通したパワーは、ある意味でレジナルド・ベルジョンソンの何でも包み込んでくれそうなキャラクターに負うところ大だったのではないだろうか。ところで、ベルジョンソンの当たり役であるパウエル巡査部長だが、日本でも放送がスタートしたスパイ物コメディ「チャック」(2007年~放送中)の第2シーズンでゲスト出演しているので要チェック!(ちなみに日本では第1シーズンまで放送済み)

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2010年6月14日 (月)

コラム【脇役から主演スターに……“ミスター・スピンオフ”~ロバート・ギローム】

ハリウッドの黒人スターといえば誰を思い浮かべるだろうか? エディ・マーフィ? ウィル・スミス? もうちょっと新しいところだとクリス・タッカーあたり? 渋め好みならモーガン・フリーマンとか。もちろん、彼らは世界的な成功をおさめた大スターである。そして、こういった黒人スターは今やハリウッド映画界には不可欠な存在だ。しかし、ほんの40年ほど前までは、黒人が主演する作品などというものは数えるほどしかなかった。特にコメディでは。

テレビ界が生んだ最初の黒人コメディスターはビル・コスビーになるだろうが、その演じたキャラクターと共にお茶の間に愛されたコメディ俳優といえばロバート・ギロームの名前を挙げたい。

彼の代表作であるキャラクター“ベンソン”は、最初「ソープ」(1977年~1980年)の脇役として登場した。ベンソンは上流家庭の使用人だが、主人に対してもズケズケと皮肉やイヤミを連発する。だからといって嫌われ者というわけではなく、誰かが助けを必要としている時には役立つ助言をしたり、子供相手には愛情深く接したりもする。型通りのキャラクターが多いシットコムの中にあって、なかなか奥深い人物なのだ。そんなキャラクターに人気が出ないわけはなく、ベンソンはシーズン3を最後に番組を去り、自らが主人公となった番組「ミスター・ベンソン」(1979年~1986年)がスタートする。

今ではよく知られるようになった“スピンオフ(あるドラマで人気の出た脇役が、そのドラマを飛び出して別の新ドラマで主役になるというシステム)”なのだが、それまでは「奥さまは魔女」(1964年~1972年)の続編的な「タバサ」(1977年~1978年)くらいしかスピンオフ作品はなかった(しかも「タバサ」は、たった12話で打ち切られた)。それに比べて「ミスター・ベンソン」は大ヒットドラマとなり、7シーズンのロングランになった(本家の「ソープ」がシーズン4で終了したのに、である)。まさに、ミスター・スピンオフ!

人気の原因はもちろんロバート・ギロームの確かな演技力にあったのだけど、州知事を陰で支えるスーパー使用人(使用人といっても、「ソープ」のテイト家よりもずっと良い境遇になっている)という設定のアイデア勝ちでもあったように思う。

「ミスター・ベンソン」終了後のギロームは、映画とテレビでバランスよく仕事を続け、80歳を越えてなお、いまだ現役である。最近ではティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』(2003年)に出演。ベネット医師役で記憶している人もいるだろう。また、今年製作されたスリラー『Columbus Circle』ではセルマ・ブレア(『ヘルボーイ』のヒロイン、リズ役)と共演している……が、日本公開は微妙なところ。

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2010年6月13日 (日)

コラム【TVで成功し過ぎちゃったコメディアン~ジェリー・サインフェルド】

90年代以降、最も人気のあったシチュエーションコメディって何?」と、アメリカ人に質問してみたとする。すると、ほとんどの人が「となりのサインフェルド」(1990年~1998年)と即答するだろう。

どのくらいの人気番組だったかというと、(かなり古い例えになってしまうけど)戦後のラジオドラマ「君の名は」があまりの人気のため、放送開始時間になると銭湯の女湯から誰もいなくなってしまった……というエピソードに近いものがあったらしい。番組終了時期に裏番組だった「ダーマ&グレッグ」では、その異常人気を逆手に取ったギャグを使用しているのでちょっと紹介してみよう。

ある日、ダーマと友人のジェーンが「どっちのカップルが、より際どい場所でエッチ出来るか」を競うことになり、「誰かに見られたらどうするの!?」と心配するグレッグに対してのダーマの返答が、「大丈夫! 今夜はサインフェルドの最終回だから、誰も外にいるわけない!」(この日は、実際に「となりのサインフェルド」の最終回だった!)。……とまぁ、当時すでに人気番組だった「ダーマ&グレッグ」でさえ、「となりのサインフェルド」をとんでもないお化け番組だと見ていたわけだ。

そんな超人気番組に主演していたジェリー・サインフェルドとは何者なのか? 他の多くのコメディアンの例にもれず、サインフェルドもスタンダップコメディからスタートした。そして1989年に製作した、自らを主人公としたシットコム「The Seinfeld Chronicles」(これがそのまま「となりのサインフェルド」となる)で注目され、一気にTVスターとなったのだ。本人のキャリアそのままに、ドラマの中でも“スタンダップコメディアンのジェリー・サインフェルド”という設定で通している。アメリカのコメディでは案外こういう設定(俳優本人が自分自身のキャラクターを演じる)が多いのだけど、TVのトークショー(に出演するホストやゲスト)とコメディスターが密接に結びついていることとも関係があるもかもしれない。コメディアンにとって、自分の名前を冠したトークショーを持つことはひとつの“あがり”でもあるからだ。

ジェリー・サインフェルドの表舞台での目立ったキャリアは、実は「となりのサインフェルド」でほぼ終わっている。とはいえ、人気が下降して消えたわけではない。むしろ、「成功し過ぎたので、長いバカンスに入っている」という感じだ。近年ではドリームワークス制作のアニメ映画『ビー・ムービー』(2007年)で製作、脚本、主演として関わっているが、それも“成功者の趣味”ともいえる余裕が感じられた。

「となりのサインフェルド」では1エピソードにつき100万ドル(約1億円)のギャラを稼いでいたのだから、もう働く必要もないのだろう。ピーター・フォーク主演の『The Thing About My Folks』(2005年)でカメオ出演してみたりと、悠々自適な後半生を送っているようである。

まさに、“TVで成功し過ぎちゃって、そこで完結してしまったコメディアン”というしかない。そして、日本とアメリカでこれほど知名度に差のある人物もいないだろう。

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2010年6月12日 (土)

コラム【シットコムに“明るいセックス”を持ちこんだ女優~ジェナ・エルフマン】

1999年にNHKでスタートした「ダーマ&グレッグ」(アメリカでは1997年~2002年の放送)には、正直かなり驚かされた。ほとんどのエピソードでセックス絡みの話題が出てくるということもそうだけど、そういう作品を“NHKが放送している”という事実にである。何しろ70年代にNHKで放送された「刑事コロンボ」では、ある登場人物の(原語では)「ベッドの中ではどうだか……」というセリフを、(セックスを連想させないために)「夫としてはどうだか……」と言い換えさせていたのだから、隔世の感がある。

これ以前にもゲイや不倫やレスビアンの出てくる海外ドラマはあったけれど、「エッチしよ!」とズバリ言ってしまっても、全く隠微さを感じさせないキャラクターはジェナ・エルフマン演じるダーマが初めてではないだろうか。ついでに言えば、アメリカのシットコムは日本放映時に途中打ち切りになるケースが多いのだけれど、「ダーマ&グレッグ」は珍しくシーズン5の最終回まで放送されている(つまり日本でも高視聴率だったということだ!)。まぁ、日本での人気は、吹き替えを担当した雨蘭咲木子の(ジェナ・エルフマン本人よりも)ダーマらしいハッチャけた声がずいぶんと影響しているんじゃないかと思うのだけど。

ジェナ・エルフマンは、ダーマ役によってゴールデングローブ賞のコメディドラマ部門で主演女優賞を受賞(1998年)。そして、この絶頂期に彼女は『エドtv』(1999年)、『僕たちのアナ・バナナ』(2000年)、『フォルテ』(2001年)と、立て続けに映画出演している……のだが、作品的には今ひとつパッとしなかった。『エドtv』では、ダーマのイメージを裏切るような不幸な(というか、コメディなのでマンガチックにボコボコにされる)ヒロインに挑戦したもののハマったとは言えなかったし(監督は『コクーン』『バックドラフト』のロン・ハワードなのに!)、『フォルテ』ではダーマの分身のようなブッとんだ女性を演じたにもかかわらず、不幸にも作品自体がコメディとして不出来だった(最低映画を選ぶ、あのゴールデンラズベリー賞にノミネート! 主演のウォーレン・ベイティがそもそもコメディの主演に向かてないんじゃなかろうか)。

ただ『僕たちのアナ・バナナ』に関しては、(興行的に大赤字だった『エドtv』と『フォルテ』と比べて)まぁ成功だったんじゃないかと思う。エドワード・ノートンが監督・主演を務めたことでちょっと話題になったりもしたが、ユダヤ教のラビ(指導者)&カトリックの神父&幼馴染みのヒロインとの三角関係という舞台設定に、ベン・スティラー&エドワード・ノートン&ジェナ・エルフマンの3人を配したことが相乗効果になったようだ(実際ユダヤ教のことがわかっていなくても、けっこう楽しめる)。この作品でジェナが演じたアナ・ライリーという女性は、聡明で明るく魅力的なヒロインだが(社会的に成功しているキャリアウーマンという点で)ダーマとはまた違うタイプ。それでも、セックスにはオープンで、あっけらかんとしたキャラクターという点では、まさにジェナ・エルフマンの得意とするフィールドだったのかもしれない。そして後味がまた心地よい。

どうやらジェナ・エルフマンは、「観客をキモチ良くさせてくれるコメディ」がお似合いのようである。

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2010年6月11日 (金)

コラム【米国コメディエンヌの王道~「元気ときどき天然」の系譜】

アメリカの女性コメディアンの歴史はどこから始まったのだろうか? 映画創世記のコメディ映画にも、メイベル・ノーマンドのようなスターやチャップリンのパートナーとして活躍したエドナ・パービアンスなどがいたけれど、彼女らはヒロインであって“道化”ではなかった。

今のコメディ映画における女性コメディアンの活躍の場はロマンティックコメディが主流であり、そう考えると、現代に続くコメディエンヌの原型を作った女優は「アイ・ラブ・ルーシー」(1951年~1957年)でシットコムの人気を定着させたルシル・ボールというのが妥当な線だろう。彼女が80年代まで演じ続けたセルフキャラクター“ルーシー”は、「おっちょこちょいでハタ迷惑なトラブルメーカーだけど、いつも陽気で憎めない女性」。そしてアメリカのシットコムにおいて、この手のキャラクターが女性コメディアンの王道として存在し続けてきたのである。

例えば60年代には「じゃじゃ馬億万長者」(1962年~1971年)でのドナ・ダグラス(エリー役)がマリリン・モンロー的な天然娘を演じていたし(モンローの吹き替えで有名だった向井真理子がエリーの声を担当したので余計にそういう印象が強かった)、70年代から80年代にかけては「ラバーン&シャーリー」(1976年~1983年)でのペニー・マーシャルとシンディ・ウィリアムズがその系統を引き継いでいる。ちなみにペニー・マーシャルは、後に『ビッグ』(1988年)や『レナードの朝』(1990年)、『プリティ・リーグ』(1992年)などのヒット作で監督としても大成した才女である。

70年代後半にはもうひとり、キャサリン・ヘルモンドという天然系の怪女優が活躍している。(当時としては)反モラルを前面に押し出した異色のコメディ「ソープ」(1977年~1981年)で、何が起きても我関せずな天然系おっとりマダムのジェシカ・テイト役を演じて強い印象を残した。彼女はその頃すでに50歳くらいだったはずだが、世間知らずで常識知らずのお嬢様がそのまま年を取ったような不思議な可愛らしさを醸し出していた。同時期にテリー・ギリアム監督の『バンデットQ』(1981年)にも出演していて、あのモンティ・パイソンの世界に加わっても違和感のない怪演を見せている。

さて、80年代後半~90年代前半にかけては、TVにおけるコメディがやや停滞してしまうのだけど、シットコムの世界は90年代後半になってようやく大型のコメディエンヌと出会うことになる。それが、「ダーマ&グレッグ」(1997年~2002年)で華々しく登場したジェナ・エルフマンだ。

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2010年6月10日 (木)

コラム【ちゃきちゃきの“ミスシットコム”~デブラ・メッシング】

ハリウッドスターの多くは、TVシリーズでの人気者を経てブレイクしている(もちろんTVが普及して以後の話だが)。ブルース・ウィリスは「こちらブルームーン探偵社」で注目されたのだし、ピアース・ブロスナンは「探偵レミントン・スティール」、ジョージ・クルーニーは「ER緊急救命室」でチャンスを掴んだ。彼らは皆、その後劇場映画の大作で主演し、世界的なヒットを連発して国際的スターとなっている。

一方、同じようにTVシリーズで人気者となったにもかかわらず、映画に進出してもいまいちパッとしない俳優も、これまた数多く存在する。特にコメディの分野において多いんだな、これが。

ブルース・ウィリスやジョージ・クルーニーとコメディ俳優を比べても仕方ないだろうと言われるかもしれないが、「ファミリータイズ」のマイケル・J・フォックスのようにコメディドラマ出身で成功した例もある(ここで言う成功とは、アメリカ国内だけでなく世界マーケットレベルでの成功なので、一応)。というわけで、今回は「TVでは大成功……でも映画では??」という言わば“TVサイズのコメディスター”を取り上げてみよう。

90年代半ばから現在に至るまで、ほぼ途切れることなくシットコムの主演を続けている女優がいる。まさにシットコムヒロインの代名詞“ミスシットコム”ともいえるコメディエンヌ、それがデブラ・メッシングである。

彼女の代表作は、「ウィル&グレイス」(1998年~2006年)のグレイス・アドラー役。アメリカでは8シーズンにわたって続いた超人気コメディシリーズなのだけど、日本では(吹き替え版が)NHKでシーズン2まで放送されて打ち切り。深夜の不定期放送だったことも災いしたのだけれど、“ゲイ男性とストレート女性の共同生活”という設定が日本の視聴者に馴染みにくいものだったということもあっただろう。

それにしても、彼女は(こと日本での知名度という点においては)ついていない。最初の主演シリーズ「Ned and Stacey」(1995年~1999年)は日本未公開。続く「ウィル&グレイス」は短期間で打ち切り。近年の主演作「The Starter Wife」(2007年~2008年)も日本未公開。……と、つくづく日本と縁がない。映画にも毎年のように出演しているというのに、メグ・ライアン、アネット・ベニング、キャンディス・バーゲン、ベット・ミドラーというスター女優たちと肩を並べた『The Women』(2008年)も、主演したロマンティックコメディ『The Wedding Date』(2005年)も日本未公開。日本で公開(もしくはDVD化)された作品は、わずかに『さよなら、さよならハリウッド』(2002年)、『プロフェシー』(2002年)、『ポリーmy love』(2004年)という寂しさだ。

Nothing Like the Holidays』(2008年)という地味ながら良質のクリスマス映画(もちろんコメディ)もあるのに、これまた日本未公開。まぁ、主演がアルフレッド・モリーナ(『スパイダーマン2』のドクター・オクトパス役)という、いかにも通好みな作品だから仕方ないけどね。

デブラ・メッシングの得意とする役どころ“威勢のいいキャリアウーマンのお姉ちゃん”っていうのはアメリカ人好みなんだろうけど、日本人にはちょっとアクが強すぎるのかもしれないなぁ。いや、本当にもったいない。

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2010年6月 9日 (水)

コラム【アメリカ随一の黒ネコ役者~ニック・ベイケイ】

ハリウッド映画において、主人公がアニメ声優役という作品は『ミセス・ダウト』(1993年)がおそらく初めてだったと記憶している。“七色の声”を演じ分ける主人公・ダニエル役にロビン・ウィリアムズをキャスティングしたのは大正解で、何しろ前年に公開されたアニメ映画『アラジン』(1992年)の魔法使いジーニー役での神業的な声優ぶりがあるのだから、それをふまえたお遊びとしてニヤリとした映画ファンも多かったに違いない。

『ミセス・ダウト』では、あちらの声優の仕事ぶりが窺えるわけだけれど、(そう有名ではなさそうなダニエルですら)そこそこ仕事があれば妻子は養っていけるようである。つまり、声優で売れることもひとつの道なのだろう。しかも、ひとつの“持ち役”で国民的に知られるレベルになれば、それはそれで“あがり”かもしれない。

有名なキャラクターを演じて声のスターになった俳優はいろいろいるけれど、動物の声、それも最も身近なペットを演じた声優ではティーン向けのシットコム「サブリナ」(1996年~2003年)で黒ネコのセーレムを演じたニック・ベイケイが有名だろう。彼は「サブリナ」のTVシリーズとTVムービー版、アニメ化された「おちゃめな魔女サブリナ」に加え、「ザ・シンプソンズ」へのゲスト出演でもセーレム役で出演している。コメディ俳優として映画やドラマに顔出し出演もしているのだが、ニック・ベイケイといえば“喋る黒ネコ”として知られてしまった(ちなみに日本語吹き替え版では小倉久寛が声を担当していたが、ニック・ベイケイ本人の声は小倉氏のようなダミ声ではなく、低音でなかなかセクシーである)。

また、ニック・ベイケイはプロデューサー、脚本家としても才能のある人物で、『ウェディング・シンガー』(1998年)や『もしも昨日が選べたら』(2006年)のフランク・コラチ監督の新作『The Zookeeper』(2011年公開予定。シルベスター・スタローンとアダム・サンドラーが声優として主演!)で脚本(出演も)を担当している。

「サブリナ」つながりでもうひとネタ。TVムービー版『サブリナ 麗しの魔女inローマの休日』(1998年)と『サブリナ 麗しの魔女inグレートバリアリーフの休日』(1999年)の2作品でニック・ベイケイと共演したタラ・ストロング(魔女グエン役で準主演)もまた本国ではスター声優で、日本でもお馴染みのアニメ「パワーパフガールズ」(1998年~2005年)のバブルス役でブレイクしたコメディエンヌである。「パワーパフガールズ」主演トリオの残り二人、キャシー・キャバディーニ(ブロッサム役)とエリザベス・デイリー(バターカップ役)も声優中心のキャリアで人気を掴んだ女優だが、特にエリザベス・デイリーは『ピーウィーの大冒険』(1985年)におけるピーウィー・ハーマンのガールフレンド・ドッティ役(後に声優としてブレイクするだけあって、なかなかの変声である)で若き日の名コメディエンヌぶりを確認できる。

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2010年6月 8日 (火)

コラム【シンプソンズファミリーの出世頭~ハンク・アザリア】

アニメ「ザ・シンプソンズ」の声優たちが揃ってエミー賞を受賞したことには以前も触れたけれど、それはあくまで“声優”としての成功であった。本来、ハリウッドでの成功が“映画(もちろん大作)での主演作(もちろんヒット作)を持つこと”だとすれば、彼らの中で最も成功したと言えるのがハンク・アザリアだろう。

ハンク・アザリアは「ザ・シンプソンズ」の第1話からのレギュラー声優であり、重要な脇役キャラを何役もこなしている芸達者な俳優である。彼もまた「シンプソンズ」の演技で注目され、役者としてのランクが徐々にアップしているわけだけど、ハンク・アザリアの場合はとりわけ出演作に恵まれた。彼が90年代以降に出演した主な映画のタイトルを挙げてみると、『プリティウーマン』(1990年)、『クイズ・ショウ』(1994年)、『バードケージ』(1996年)、『大いなる遺産』(1998年)、『GODZILLA』(1998年)、『クレイドル・ウィル・ロック』(1999年)、『アメリカン・スウィート・ハート』(2001年)、『ナイトミュージアム2』(2009年)……と、ほとんどが日本でも公開されている話題作である。

特に『クイズ・ショウ』以降ではメインキャストの扱いになり、ティム・ロビンス監督作『クレイドル・ウィル・ロック』ではついに主演を果たしている。同年公開された『ミステリーメン』(1999年)でも主演扱いで、ここまで来るとTVアニメの人気声優という枠を超え、堂々としたスター俳優である。

そんなハンク・アザリアだが、最近公開された『ナイトミュージアム2』にも出演しているというのに、日本での知名度は……これがまたさっぱりなのである。エキゾチックな二枚目で、加えてアクの強いキャラクターだから、ちょっと日本人ウケはしないかもしれない。まぁ、主演のベン・スティラー(アメリカではもちろんトップスター級のコメディアン)ですら、日本ではまだまだマニアックな存在だから仕方ないともいえるが。

ハンク・アザリアの魅力を端的に知るには、『クレイドル・ウィル・ロック』での作曲家“ブリッツスタイン”と『ミステリーメン』でのB級ヒーロー“ブルー・ラジャ(中東の王族風のコスプレで、フォークやナイフを武器にする一般人)”を見比べてみることをオススメする。特に、彼のコメディアンぶりを観るには『ミステリーメン』を。『X-メン』(2000年)のパロディ風だが、公開はこちらが先。共演がベン・スティラーをはじめ、ウィリアム・H・メイシー、ポール・ルーベンスなど、まさに“マニアックなオールスターコメディ映画”だ!

余談だが、ハンク・アザリアってけっこうモテ男で、なんとオスカー女優のヘレン・ハントと結婚していた過去がある(ヘレンとは、わずか1年で破局。ちなみに現在の恋人は17歳年下の女優ケイティ・ライト)。この二人がどこで結ばれたのか不思議な気もするけれど、実は1998年にヘレン・ハントが「ザ・シンプソンズ」にゲスト出演しており、ハンクもヘレン主演のシットコム「あなたにムチュー」に何度かゲスト出演しているのだった。アニメ声優とオスカー女優の恋なら結ばれなかったかもしれないけれど、二人が結婚した年(1999年)、彼は映画にテレビに大活躍だったのだ。このタイミングの良さが、これまたハンク・アザリアらしいではないか。

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2010年6月 7日 (月)

コラム【TVアニメで名を上げた個性派コメディエンヌ~ヤードリー・スミス】

前回、「ザ・シンプソンズ」を引き合いにして日米声優のステイタスの違いについてちょっと書いたのだけれど、今回はそのシンプソンズ・ファミリーからリサ・シンプソン(出来の良い8歳の長女)の声を担当したヤードリー・スミスを紹介したい。

日本ではそれこそ馴染みのない女優だが、ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントがオスカーをW受賞した『恋愛小説家』(1997年)ではグレッグ・キニア演ずる画家サイモンのマネージャー役だった……と言えば思い出す人も多いだろう(しかも、その役名がジャッキー・“シンプソン”なのだ!)。この時点で、彼女はリサ役を始めて10年ほど経っている。つまり、すでにアメリカでは堂々たる人気女優であった。ちなみに、「ザ・シンプソンズ」の日本語吹き替え版ではリサ役を神代知衣が担当しているが、『恋愛小説家』のジャッキー役も日本語版は神代知衣で、これはもちろん同じヤードリー・スミスが演じているからだけど、こういうのを“わかっている”キャスティングというのである。

私がヤードリー・スミスを声優としてではなく女優として認知したのがこの年あたりで、『恋愛小説家』と同時期にシットコムとして大人気だった「ダーマ&グレッグ」での秘書マリーン役を観た時だった。こちらの日本語吹き替え担当は神代知衣ではなくて安達忍(「フレンズ」のジェニファー・アニストンや「ビバリーヒルズ高校白書」のトリ・スペリングの声を担当した“コメディ向きな鼻声”の声優)だったけれど、これはまぁ秘書マリーンがメインキャストではなかったから仕方ない。

実物のヤードリー・スミスは(というと失礼かもしれないが、彼女の知名度を上げたのが実際TVアニメなのだから)、小柄でお世辞にも美人女優ではない。が、「ダーマ&グレッグ」で見せた“人を喰ったような毒舌家の秘書”は、“子供なのに冷めきっている”というリサ・シンプソンのキャラクターとどこか相通じるものがあった。コメディエンヌとしてのブレイクも、彼女の強い個性と、その高い演技力あってこそなのだ。

余談だが、私生活では長年過食症に悩んでいたということで、シンプソンズのエピソードでもリサが摂食障害に苦しむ話(第16シーズンのエピソード3Sleeping With the Enemy」)が出てきたりして、まったくシンプソンズ恐るべしである。

「ザ・シンプソンズ」は現在も続いており、そのエピソード数は500話に迫る勢いで、これはアメリカのアニメシリーズとして最長寿番組記録を更新している。ヤードリー・スミスはシンプソンズへの出演の他に、今年に入ってすでに4本の映画に出演。しかし、どれも日本では観られるかどうか……という現状が辛いところである。

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2010年6月 6日 (日)

コラム【海外コメディアニメに見るアメリカンドリーム】

さて、前回のコラムでピーウィー・ハーマンことポール・ルーベンスの近況について述べたのだけれども、彼はあの個性的な喋りを活かしてアニメ声優としてもなかなかのキャリアを持っているのである。現在カートゥーンネットワークで放送されている「バットマン:ブレイブ&ボールド」でのバットマイト役(一応ヒーロー側のキャラクターだが、5次元から来たバットマンの迷惑なファンという設定)やコメディアニメの「Chowder」などが最近の出演作だが、声優としては80年代から数々の作品に出演している。ポール・ルーベンスだけではなく、アメリカのコメディアンは、そのキャラクターの強さから声優として活躍の場を与えられることも多い。

日本では、アニメ文化がジャンルとして世間に認められたとはいえ、専業の声優は(一部のスターを除けば)まだまだ一般の俳優に比べて一段低い扱いなのが現状だ。だから、海外から入ってくるディズニー映画の大作や、国内アニメでもジブリ級の作品などは主役級のキャスティングに有名タレントや大物俳優を起用するのが当たり前。そのことでちょっとした社会問題になったのが、2007年に公開された『ザ・シンプソンズ MOVIE』での配役だった。テレビシリーズとして長年放送されていた「ザ・シンプソンズ」では、主人公のホーマーを大平透、その妻マージを一城みゆ希、息子のバートを堀絢子、娘のリサを神代知衣がそれぞれ吹き替えを担当している。それが劇場版では、こともあろうにオリジナルキャストをそっくり有名タレントと入れ替えてしまったのだ。この事件を国産アニメに置き換えてみれば、どれだけひどいことかわかるはずだ(例えば劇場版の「サザエさん」や「ちびまるこちゃん」が制作されたとして、メインキャストの声を全部人気タレントが担当したらどう思うか?)。日本の配給会社が、海外アニメやコメディというジャンルをナメているとしか思えない事態であり、この件に関してはオリジナル版の日本人声優もブログで嘆いていた。

もちろん、アメリカでは映画版もテレビと同じキャストである。そして、質の高いコメディ作品はアニメであっても正しく評価され、「ザ・シンプソンズ」のメインキャスト(声優)は皆エミー賞のボイスオーバー・パフォーマンス賞を受賞している。さらに言えば、ギャラも破格であり、彼らは現在1エピソードにつき40万ドル(約4千万円)の出演料を稼いでいるのだ(これは、日本の声優のギャラのおよそ千倍!)。「ザ・シンプソンズ」ほどの人気アニメは特殊だとしても、日本なら国民的な人気アニメであろうが声優のギャラが跳ね上がるなんてことはなくて、こういうところ(評価に見合うギャラ交渉が自由にできる環境)がアメリカンドリームの国だなぁ、とつくづく思う。

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2010年6月 5日 (土)

コラム【浮き沈みも何のその~ポール・ルーベンス】

エミー賞受賞の人気シチュエーションコメディ「プッシング・デイジー 恋するパイメーカー」を観ていた時のこと。ゲスト出演していた俳優を見て「ん? どこかで見たことのある顔だなぁ」と思ったら、なんとポール・ルーベンスだった。

ポール・ルーベンスと聞いて「誰?」と思った人には、ピーウィー・ハーマンと言えばわかるだろうか。1990年頃に日本でも話題になったから、覚えている人も多いかもしれない。灰色のスーツに赤い蝶ネクタイ、白塗りのメイクで子供っぽいキャラクターのピーウィー・ハーマン。あの人物を演じていたコメディアンこそ、ポール・ルーベンスなのである。

そもそもは子供番組の「ピーウィーのプレイハウス」で人気に火がつき、『ピーウィーの大冒険』(1985年)で映画初主演。ちなみにこの映画、あのティム・バートン監督の長編映画デビュー作なのである。で、スターとしての地位を築いたポール・ルーベンスだったが、人気絶頂時の1991年に公然ワイセツの罪で逮捕され、一気にホサれてしまう。

……が、捨てる神あれば拾う神あり。ティム・バートンにはよほど気に入られていたのだろう。『バットマン・リターンズ』(1992年)で、ダニー・デビート演じる悪役・ペンギンの父親役として起用され(ちなみにペンギンの母親役には、『ピーウィーの大冒険』でピーウィーと不思議な友情で結ばれる女性シモーヌを演じたダイアン・サリンジャーが起用されており、ピーウィファンへのサービス的なキャスティングでもあった)、翌年の『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』でも声優として出演することになる。

前述のスキャンダル以降、ピーウィのキャラクターを封印した彼は、こうして地味だが味のある個性派俳優としての道を歩き始めたのだった。

その後、ジョニー・デップ主演の『ブロウ』(2001年)での名演によって再び注目されることになるのだが、2002年には児童ポルノ所持の罪で再び逮捕。まったく、絵に描いたような浮き沈み人生である。

二度もスキャンダルに見舞われれば(しかもハレンチ罪!)俳優としての人生は普通終わりそうなものだが、彼はアニメ声優やTVドラマの客演でじわじわと生き延びてきた。「プッシング・デイジー」で彼が演じた役は、ヒロイン(一度殺されたが死体のまま生き返ったという設定)の秘密を嗅ぎ付ける“異常に鼻の利く男”で、「キミは死の匂いがする」なんて言ったりする。そこだけティム・バートン調の世界になってしまうのはさすがで、こういう役はポール・ルーベンスならではであった。日本の俳優で言えば篠井英介みたいな存在感を感じさせる。

今はまた浮きつつあるポール・ルーベンスの俳優人生だが、ここにきて20年近く封印していたピーウィー・ハーマンを解禁する動きがあるようなのだ。どうやら2011年公開予定の新作映画『Pee-wee's Playhouse: The Movie』が制作されているらしい。タイトルからすると、かつての人気番組「ピーウィーのプレイハウス」を下敷きにした劇場版という感じのようだ。

これを機に三度ブレイクするかどうかはわからないが、俳優として深みの出てきたポール・ルーベンス演じるピーウィー・ハーマンの再来はぜひ歓迎したい。

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2010年6月 4日 (金)

コラム【映画とは相容れないトム・グリーンという存在】

前回に続き、トム・グリーンについてもう少し語ってみよう。

先日、久しぶりに『トム・グリーンのマネー・クレイジー~スットコ大作戦~』(2002年)を観たのだけれど、トム・グリーンってつくづく映画に向いていないコメディアンだなぁ、と感じた。ここでは、彼の持ち味である“キモ危なさ”がかなり薄まっている。ドタバタを繰り広げはするものの、「主人公の姪をハーバード大学に入れるための資金稼ぎで騒動を巻き起こす」という本筋から逸脱していないのだ。しかも、この作品では(オープニングクレジットではトップにもかかわらず)主役ですらない! ストーリーは終始(実質的な主人公である)ジェイソン・リーの視点で展開し、トムは最後まで(重要な役ではあるけれど)狂言回しのポジションなのだ。初期出演作の『ロード・トリップ』(2000年)でも似たようなポジションだったが、まだ人気が固まる前だったためか、正しく脇役扱いだった(DVDのパッケージでは彼が主役のようになっていたけどね)。ちなみに『ロード・トリップ』の主役であるブレッキン・メイヤーとエイミー・スマートについては(特にコメディエンヌとしてのエイミー!)当コラムであらためて紹介したい。

映画という、未来にも残っていく性質を持ったものには、トム・グリーンのテレビ的というか刹那的な才能は肌が合わないのだと思う。いや、もちろん『マネー・クレイジー』にしても(ラストへの伏線にもなっている繰り返しギャグなど)コメディ映画としては十分及第点を取っているのだけれど、そこそこ器用な個性派俳優でもトムの代わりは務まりそうなのだ……というか、もっと良くなったんじゃないかと考えさせられてしまう。

この映画が公開された当時には微妙に主演クラスではなかったとはいえ、ジェイソン・リーに対する扱いはちょっとヒドイ。本編を観れば、彼が主役であることは疑いのないことなのに。なんだか、ブラッド・ピットの名前で客を呼ぼうとした『ファイト・クラブ』(1999年)を思い出した。確かにエドワード・ノートン主演じゃあ、(当時は)コアな客しか呼べそうにないものなぁ。

閑話休題。結局のところ、現在に至るまでトム・グリーン主演の“映画”は(話題にはなっても)大ヒットはしていない。彼が評価されているのは、相変わらず「トム・グリーン・ライブ」のような“LIVE!”感覚のテレビだったりする。やはり、私生活のスキャンダル(ドリュー・バリモアとの短い結婚生活)も含めてネタにしてしまうような、下品なワイドショー感覚こそトム・グリーンの真骨頂なのだ。

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2010年6月 3日 (木)

コラム【ミスター低俗=トム・グリーン】

今回のテーマは、異端コメディアン。ということで、最初に紹介すべきはこの男、トム・グリーン。ハリウッドで、トム・○○○といえばトム・ハンクスとかトム・クルーズとかの大物が出てくるけれど、それらビッグネームを集めても名誉挽回には至らないほど、トムという名を貶めた男、それがトム・グリーンなのである。
名優でもなければ、二枚目でもない。やることなすこと、下品の極み。カナダ出身のコメディアンだけど、活動のスタートはミュージシャン(ラッパー)とラジオのDJ。その後、テレビ番組の「トム・グリーン・ショー」(1994年)で人気者となり、アメリカへ進出。この経歴を見るとわかる通り、彼には役者としての修行期間がない。ハリウッドで活躍しているコメディアンの多くは、アクタースクールや舞台で演技を学び、役者としても一流なのが当然のこと。だから、トム・グリーンの出演作を観ていると(他の役者と比較して)芝居がとにかくダメだというのがわかる。なのに、どうして人気が出たのか?
それはひとえに、下品で低俗なキャラクター作り(いや、ある部分“素”なのかも)にある。彼を支持するファン層は間違いなくティーンエイジャー、それもオフザケが大好きな男子が大部分を占めているはずだ。日本なら、さしずめドリフの番組(今なら「ロンドンハーツ」か?)が好きな小中学生男子といったところだろう。
出世番組となった「トム・グリーン・ショー」では、えげつないドッキリ企画やチャレンジ企画のオンパレード。例えば、「素のトムと酔っぱらったトムとでは、どちらが面白いか?」という企画でリアルに酒を飲み、数十分後にトイレで吐くシーンまでモザイクなしで映していた(途中で「わかった、お前は面白いよ」と慰めるスタッフの声が入ったりする。で、最後にトイレで眠ってしまうと、「それはあんまり面白くないな」とツッコまれる始末)。
「トム・グリーン・ショー」はカナダの番組だったが、アメリカで人気に火がついてからは「MTV」への出演、自らが監督・主演した映画『フレディのワイセツな関係』(2001年)へとスターダムを駆け上がった。その『フレディのワイセツな関係』が、かのゴールデンラズベリー賞で最低作品賞(ついでに最低監督賞と最低主演男優賞も!)を獲得したのはトム・グリーンにとって名誉なことだったのではないだろうか。

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2010年6月 2日 (水)

2010/6/2の出来事

★明日の「anan」取材。“刑事ドラマ特集”ということで、事前にインタビュー詳細が届く。編集部が用意した番組リストに基づいて回答を用意。

★『弁護士イーライのふしぎな日常』(AXN)第6話「守りたいもの」を観る。冒頭に登場する州弁護士会の調査官役でアラン・レイキンズ(『ダーマ&グレッグ』のラリー役)が出ていた。吹き替えが斎藤志郎さんなら良かったのになぁ。大リーガーの黒人を乃村健次さんが吹き替えてたけど、ああいう“エラそうな黒人”の声がホント似合ってる、と再確認。

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